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新潟ラプソディー

宇宙のこれから

一体、未来の宇宙はどうなっていくのでしょうか。宇宙は誕生以来ずっと膨張を続けています。これからもずっと膨張を続けていくのか、それともやがて収縮に転じるのでしょうか。

 それは、宇宙全体の質量密度と宇宙の崩壊に必要な臨界密度との比である、「密度パラメーター」の値によって異なることになります。この値が1より小さければ、「開いた宇宙」で、永遠に膨張を続けます。1より大きければ、「閉じた宇宙」で、いつか収縮に転じます。ちょうど1であったら、宇宙は平らであって膨張を続け、無限の未来に静止します。

 宇宙が開いているか平らならば、膨張に伴って宇宙の中は次第に暗くなっていきます。星たちは自分の核燃料を使い果たし、白色矮星や中性子星、ブラックホールに変わっていきます。最終的には輝いている星はなくなり、ブラックホールさえもゆっくりエネルギーを放出し続け、やがて蒸発してしまいます。そして、宇宙の温度は下がり続け、限りなく絶対零度に近づきます。
 
 閉じた宇宙ならば、体積は有限なので、宇宙の膨張はやがて収縮に転じます。銀河はどんどん近づいていき、宇宙の温度と密度は上昇します。収縮が進むに連れてブラックホールが大量にでき、そして再び密度無限大のひとつの点になります。

 残念ながら、現在宇宙が「開いて」いるのか「閉じて」いるのかはまだわかっていません。もしかしたら、今の宇宙理論による宇宙の歴史や将来もこれまでの宇宙理論と同じように別の理論が出てきて訂正されるのかもしれません。


 ニュートリノ98(98年6月4日から9日)において、スーパーカミオカンデのグループは ニュートリノに質量があるという確証が得られたという結果を世界に向けて発表しました。宇宙論は、このような宇宙を見る観測的な技術の発展と物質についての知識の結合が不可欠です。21世紀には宇宙はますます身近になってくると思います。

 米航空宇宙局(NASA)は2月11日、人工衛星で詳細に観測して分析した、誕生直後の宇宙の様子を公開し、その「姿」を明らかにしました。
 これはWMAPという人工衛星で、宇宙誕生の大爆発(ビッグバン)から38万年後の宇宙から降り注ぐ電波(宇宙背景放射)の温度などを100万分の1度の精度で観測して、宇宙の温度分布図をつくったものです。
 宇宙全体のエネルギーのうち、水素など星を形作るふつうの物質は4%にすぎず、正体不明の暗黒物質(ダークマター)が23%。73%はアインシュタインが予言した宇宙定数(ダークエネルギー)だったとのことです。
 このことから宇宙の年齢は137億歳で、形は平らであることがはっきりしました。また、誕生直後に爆発的に膨張(インフレーション)したことも確実になりました。宇宙が将来、収縮に転じてつぶれる可能性もなくなり、 平らで永遠に膨張を続けることになるそうです。 さらに詳しい発表がされると思います。(2003.02.12)

参考文献:「天体と宇宙の進化1」 杉本大一郎編著 放送大学教育振興会
      「宇宙はどこまでわかっているか」池内了著 日本放送出版協会
      「SPACE ATLAS」三品隆司編 PHP研究所
      「天文学がわかる」AERA Mook 朝日新聞社
      「宇宙がわかるキーワード100」Newton1998年11月号付録 ニュートンプレス
by ozemu | 2003-02-12 22:07 | 宇宙のお話