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新潟ラプソディー

台風について

日本付近で発達する傾圧性の大きい温帯低気圧は、位置のエネルギーから運動エネルギー を補っています。つまり冷気が沈み、暖気が上昇するために生じる位置のエネルギーの差が運動エネルギーとなっています。しかし、台風の運動エネルギーは、雲の中で水蒸気が凝結して雲粒ができる時に放出される水蒸気の凝結熱という潜熱で補われています。それで、台風が北上して冷たい海域に入ったり、上陸したりすると、エネルギー源である水蒸気の補給が絶たれて急激に衰弱してしまうのです。また、雲のクラスターが発生するためには地球の自転によるみかけの力のコリオリの力が必要です。このようなことから、台風の発生条件として以下のような条件があげられます。

1  熱帯や亜熱帯の海上である程度高緯度(緯度8度〜25度付近)であること。赤道付近(南北緯度5度くらいまで)ではコリオリ力が小さい地域(緯度が高いほどコリオリ力が大きい)のために発生していません。
2 海域の表面水温が26〜27 度より高いこと。
3 大気の南北方向の気温軽度が弱いこと。すなわち水平方向に気温が一様なこと。

 北太平洋の北緯10度あたりで北東貿易風と南半球から赤道を越えてきた南東貿易風が収束して熱帯収束帯をつくり、多数の雲のクラスターが発生します。これらの内、最大風速が17m/s以上になったものを台風といいますが、台風にまで成長するものはほんの一部分です。

 また、台風の発達に重要なのが、中心からある距離の地点で接線速度(台風の中心を中心とする円周に接した風ベクトルの成分)が最大となることが挙げられます。この地点より中心側では境界層内で収束があり、収束した空気は境界層の上端を通って上昇します。一般的な熱帯の大気は中層から下層にかけて条件付不安定な成層をしています。つまり、温度の減率が乾燥断熱減率(空気塊が断熱的に上昇したときに周囲の気圧が低くなり空気塊が膨張し、温度を下げるその割合)と湿潤断熱減率(飽和した空気塊が上昇するとき、温度が高度とともに減少する割合)の間にあります。下層の空気がこの上昇流に乗って自由対流高度に達すると、あとは浮力によって上昇します。こうして多数の積乱雲が発生し、眼の壁雲となります。はじめに弱い渦運動があると、渦運動→地表摩擦による収縮→大気境界層上面を通る上昇流→積乱雲群の発達→凝結熱の放出→中心の高温化→中心気圧の低下→渦運動の強化、というように渦の回転運動は加速度的に増大し強烈な風を伴う台風という渦巻ができるのです。

 台風は、強風や大雨により日本に災害をもたらしますが、恵みの雨となることもあります。(2003.01.30)

 熱帯の海洋上で発生した台風は、低緯度地方の東風(貿易風)に乗って、まず西に向かい。その後太平洋高気圧のまわりに吹く風に乗りその周囲に沿って、北上しながら進路を東に移していきます。つまり、台風の進路は、太平洋高気圧の張り出し方に関係しており、太平洋高気圧の勢力が強い7・8月は中国大陸の方に進み、勢力がやや弱まる9月頃には日本への上陸が増えることになります。

 秋になると、台風は南の暖かく湿った空気を伴っているため北の寒気との間に前線ができやすく、あるいは秋雨前線と重なって大雨や集中豪雨をもたらします。
# by ozemu | 2003-01-30 22:20 | 気象のお話

季節を決定するもの

地表面の状態が一様な大陸や海洋上に高気圧が長い間停滞すると、温度や湿度などが平衡状態となり、数百から数千kmに渡って同じ性質を持つ空気の固まりとなります。これを気団といい、発生した場所や緯度と、大陸性か海洋性かによって分類されています。日本付近の気団には、小笠原気団(高温多湿)、シベリア気団(低温乾燥)、揚子江気団(温暖乾燥)、オホーツク海気団(冷涼多湿)があり、季節ごとの気候に大きく影響しています。
# by ozemu | 2002-08-25 22:18 | 気象のお話